「UFC 4」ダメージモデルの詳細
!「UFC 4」のダメージモデルを深く掘り下げ、舞台裏の出来事をよりよく理解しましょう!
「EA SPORTS UFC」ファンの皆様、こんにちは。
競技的なバランスとリアルさという観点から、私たちは何年もの間、打撃の効果がちょうどよいと感じてもらうために多くの取り組みを行っています。相手に打撃が当たった際に与えるダメージのあらゆる要因を考慮しました。その要因のほとんどは割と直感的で、プレイしている時に納得のいくものでした。しかし、多くのコミュニティメンバーからは打撃の正確な仕組みを知りたいという声が上がっていました。同じ打撃が特定の条件でより多くのダメージを与えるのはなぜか?そしてどれだけの差があるのか?
先日、練習モードでダメージのHUDを表示させるという新たな機能をリリースしました。試合の様々なチャンスにおいてそれをより上手く活かす方法、そしてどのような場合に無防備になってしまっているか。ダメージモデルを掘り下げ、それをより深く理解していただくためのものです。しかし、その機能はすべてをお見せしているわけではありません。モデルにおける最も重要な部分、そして動的な要素に集中しているからです。これは、それぞれの状況で与える影響が希薄である膨大なデータを提供することで混乱させてしまうのを避けるための措置です。
この記事では、スタンドでの戦闘におけるダメージモデルの詳細を説明するとともに、新機能のHUDを利用して「UFC 4」における戦闘をより深く理解していただく方法を紹介いたします。
そのためにこの記事は3つの大きな要素に分け、それぞれを深く掘り下げていきます。その3つの要素とは、基本ダメージ、ダメージ範囲、ダメージ補正です。これらの要素は最終のダメージ計算を構成するものです。ダメージ範囲に基本ダメージが加算され、ダメージ補正が乗算されます((基本+範囲)×補正)。
基本ダメージ:
これは非常にシンプルな固有の調整値で、さまざまな異なる要素から決定されます。階級と打撃タイプの2つの要素がすぐに思い浮かんだことと思います。しかしここから更に細分化されます。打撃の向き(リードまたはバック)、打撃のターゲット(頭部、ボディ、脚)、クリンチ時にはポジションやクリンチの状態(有利、中立、不利)によって変化します。これらの要素の組み合わせの一つ一つが、打撃の基本ダメージを構成する固有の調整値に反映されます。
例えば、ヘビー級とフェザー級の選手が頭部にフックを放つ場合、ダメージ量は異なります。ボディーまたは脚に回し蹴りを放つ場合も同様です。また、同一選手がフックを放つ場合、タイ・クリンチかスタンド状態から放つのかでも異なります。
この数値は他の計算式の土台になる重要な値です。
ダメージ範囲:
ダメージ範囲とは複数の要因を組み合わせたもので、異なる選手による同じ打撃に差を出すことを意図しています。同一の基本ダメージが発生する状況、階級、打撃タイプなどを考慮しています。
まずは、他の要素によって影響を均一ダメージの量を確認しましょう。これは基本ダメージと同様の調整値で計算されますが、こちらでは均一の値ではなく割合が使用されます。その割合が基本ダメージに割合が適用され、まずそこが開始地点となります。例えば、打撃の基本ダメージが20で、攻撃範囲が40%だとしましょう。開始値は8になります。
ここからが興味深い部分です!以下はダメージ範囲に影響を与える要因です:
- スタンス補正 - これは選手のスタンス切り替えのレーティングが直接影響し、デフォルト以外のスタンスの時に使用します。
- パワー補正(P) - これには対応するパワーレーティングが影響し、スタンス補正が乗算されます。その時点の選手の脚の丈夫さの影響も受けます。
- レベル補正(L) - 打撃の移動レベルに基づき、こちらもスタンス補正が乗算されます。
- オーバーキル補正(O) - 現在ではこの補正が適用されるのは稀ですが、PERKでパワーレーティングが100を超える場合に使用されます。「UFC 3」では非常に多く使用されていました。現在も有効ではあります。
- スウェイ補正(S) - スウェイカウンター攻撃の際に、20%のダメージ範囲バフが付与されます。
- あご補正C) - あご、身体、脚のレーティングが特に低い選手は、その部位に受けるダメージが増加します。
先程の例を引き続き使用しましょう。ひとまずダメージ範囲(DR)は8となっています。各補正はこの開始値に関して若干異なった方法で使用されます。また、最後にすべてが加算されます。一部の要因は有効なDRを分割し、その他の一部は後で加算されます。例えば、パワーは有効な範囲の半分を占めています。完璧なステータス、デフォルトのスタンス、そして脚ダメージを受けてない選手であれば、これらの要因から最終的に算出される値が4であることを意味します。いずれかの要因が下がれば、パワーにより発生するダメージ量も低下するということです。同様に、移動レベルは40%、オーバーキル補正は有効な範囲の10%を占めます。スウェー補正とあご補正は後で加算され、算出された範囲の値にボーナスを付与します。合計は次の通りです: (DR×0.5×P)+(DR×0.4×L)+(DR×0.1+O)+(DR×S)+(DR×C)
これらを合わせることにより、最終的なダメージ範囲はある選手が特定の打撃を放つ場合においてはほとんど固定されるのですが、他の選手がそれと同じ打撃を放った場合との差を生み出しています。ダメージのHUDでは、基本と範囲が合わさった状態で()内に表示され、状況に応じた補正を含まない均一の打撃ダメージを示しています。
以下は、José AldoとDominick Cruzの両方が、状況に応じた補正がかからない状態でジャブを放った場合の例です。双方とも基本ダメージは同じですが、ダメージ範囲が異なっているためダメージが異なるという結果が出ています。
ダメージ補正:
ダメージ補正は、打撃に影響を与える状況に応じた要素です。刻々と変化し、戦いが進むにつれて自然に進化していきます。これらのコンセプトの多くはかなり直感的であると思いますが、その正確な影響は推測が難しいかもしれません。そのために、HUDでは最も重要なものが表示されています。これらの数値はすべて基本ダメージとダメージ範囲に乗算され、打撃の最終的な影響度が算出されます。
- ダメージブロック補正 - これだけでも複雑な計算です。打撃のブロックに成功された場合に実際に通るダメージの量を算出します。HUDにはブロックされたダメージの量が表示されるため、打撃の合計ダメージがわかるようになっています。これだけでも重い打撃がブロックされてもダメージが入ること、そしてブロックを崩す方法(様々な角度からのコンボを放つ)を理解することに非常に役立ちます。
以下の例はAldoの頭部への回し蹴りです。この状況には彼の他の補正は影響を及ぼさないので、ダメージを変える唯一の要素はブロックです。基本+範囲は57.6で、通ったダメージが5.7であることがわかります。残りのダメージはブロックに吸収されています。これはコンボではなく、特に手順が踏まれた攻撃でもないのでブロック崩しには影響されないことがわかります。Cruzが受けた10%のダメージは回し蹴りが完全に打ち消すには重すぎるために発生するものです。
- 打撃範囲補正 - 打撃を当てるための理想的な間合いを基礎とします。近すぎたり遠すぎたりするとダメージが減少します。必要な場合はファイターのリーチとターゲットの身長が影響します。ジャンプしている、またはしゃがんでいる相手の頭部をパンチしようとしているときなどが該当します。
- 無防備 - 非常に複雑な値です。無防蟻は最終的なダメージを増加または減少させます。打撃を受ける際の状況的な無防備さにおいて発生するものです。打撃の方向に体を曲げてるか、もしくは反対方向に反らしているか、回転中に打撃を受け不意を疲れているか、悪いタイミングでの挑発時に打撃を受けているか、などです。
- 現在スタミナ補正 - その時点のスタミナの割合とスタミナレーティングに基づきます。
- 最大スタミナ補正 - その時点の最大スタミナ率とスタミナレーティングに基づきます(同じ最大スタミナ率でも、レーティングが異なる選手は値が異なります)。
- 相手スタミナ補正 - 相手のその時点のスタミナに基づいています。これはファイターが最後の瞬間に打撃を避ける反射神経を再現するために使用されます。この補正はすべての選手に適用されません。
- 移動ダメージ補正 - その時点の移動方向と打撃側に基づます。これはファイターの体の移動に伴う勢いが打撃に影響していますので、それを再現するためのものです。前進しながら利き腕で投げるといった状況が例として挙げられます。
- 階級差異 - 全階級トーナメントなどで、階級差のあるファイターへ与えるダメージの増減です。
- ダメージ軽減補正 - ファイターが攻撃の構えの際に打撃を受けた際に攻撃が完全に止められなかった場合は、その攻撃によるダメージが軽減されます。
- ケージ背後補正 - ケージ際に背を向けた選手は十分に攻撃の構えが取れず、攻撃に適した位置にしっかり脚を固めることもできないので、与えるダメージが軽減されます。
- スライダーダメージ補正 - これは、多様なオフラインモードで利用可能なダメージスライダーによって直接影響を受けます。
これらの補正を説明する例をいくつか確認して、今日はおしまいとしましょう!どちらの選手もHUDに打撃データが表示されています。これは、次の打撃が当たるまでデータが表示されたままになるためです。まずはCruzの分析をしましょう。スクリーンショットのアッパーカットの前の打撃です。
背後へのストレートがクリーンヒットしまたが、与えたダメージは8.7だけでした。その打撃の基本ダメージの40%以下です。その理由は、その時点の最大スタミナは多かったにもかかわらず、一時的なスタミナが非常に低かったためです。また、打撃で間合いを詰めすぎたので、腕を完全に伸ばしきれなかったのです。一方、Aldoはスタミナも十分、打撃が当たる際にも無防備状態になることは一切していませんでした。そのため、ボーナスが一切発生しませんでした。これらの状況が補正に反映され、ダメージ減少における大部分の要因となります。
背後へのストレートがクリーンヒットしまたが、与えたダメージは6.1だけでした。その打撃の基本ダメージの26%以下です。その理由は、その時点の最大スタミナは多かったにもかかわらず、一時的なスタミナが非常に低かったためです。また、打撃で間合いを詰めすぎたので、腕を完全に伸ばしきれなかったのです。一方、Aldoはスタミナも十分、打撃が当たる際にも無防備状態になることは一切していませんでした。そのため、ボーナスが一切発生しませんでした。これらの状況が補正に反映され、ダメージ減少における大部分の要因となります。
しかし、こちらでAldoに発生している例ではまったく別の結果となっています。Aldoは強烈なアッパーカットをお見舞いし、通常の34ではなく167ものダメージを与えています。完全なKOまでいかなくとも、即座にKDです。まず、最も明白な要素がは無防備です。Cruzがしゃがんだ際の最も高い位置で攻撃を当てました。これは非常に危険な組み合わせです。さらに、Cruzのスタミナが非常に低いため大きな恩恵を得ています。30%のダメージブーストです。若干理想的な範囲から外れているため3%のダメージ軽減がありますが、この打撃は合計490%のボーナスダメージが発生しています。これこそが「劇的なノックアウト」の要因です。ただの偶然ではなく重要な、そして状況的な要素が積み上がって発生するものなのです。
最近のパッチではHUDの機能を拡張し、グラップル中の打撃やグラウンドパンチの応酬、それ以外のグラウンドでの打撃に対応しました。グラウンドでは範囲の調整などの一定の要因が考慮されていません。しかし、HUDを利用すれば様々なポジションの長所や短所、グラップリング中の防御などをより詳しく理解することができます。スタンド時と同様に重要であり、参考になる情報となるでしょう。
「UFC 4」のダメージモデル内の、多大なリアルの要因を考慮した状況の再現やシミュレーションの可能性は無限大です。それでも私たちはあらゆる結果が実際のオクタゴンで展開するのと同じような、直感的で自然な結果に見えるように努力を重ねているのです。