サイファーの口づけ:選択式ショートストーリー
By Cathleen Rootsaert
フリーランサーを殺せ
決断までは時間がかかったが、一度決定した後は、正しいものだと感じられた。慈悲だとも思えた。愛に飢えていたせいもあった。アンミアンがいなかったら、君が死ぬ運命だったかもしれない。
負傷したフリーランサーは自宅で療養していた。危篤状態から脱した後に、病院から移されたのだ。彼女はより快適に過ごせるはずだった。安らかな眠りをさまたげるのは、物静かな世話人が様子を見るために自宅を訪問して、彼女を入浴させたり、食事を与えたりするときだけだった。
君とアンミアンはフリーランサーの枕元に立った。昏睡状態の彼女は、死んでいるように見えた。閉じたその目は腫れ上がっていた。しかし顔全体が膨らんでいるせいで、それほど目立ってはいなかった。頭蓋骨は砕けており、二度と飛ぶことができないことを意味した。
「このまま放っておいても死ぬだろう」とささやいた。アンミアンは同意した。
「平穏が彼女の幸せだ」とアンミアンは言った。「彼女はそれを望んでいる」
愛する者ほど落ち着いてはいなかったものの、君はつぶやくようにアンミアンの言葉に賛同した。フリーランサーが意識を取り戻し、君の秘密を暴露したあとで、結局死んでしまったとしたら? そのゆっくりとした苦悩の死が、このままでは現実になるかもしれない。そうなったら誰にも利はない。これが最善の策なのだ。君達三人にとって…
アンミアンは 君の手を固く握りしめた。その後… ドアの前で見張っている間に、アンミアンは負傷したフリーランサーの顔に枕をきつく押し当てた。フリーランサーはうめき声をあげたが、ほとんど抵抗しなかった。
それから数ヶ月間、君とアンミアンは平穏で幸せな日々を過ごした。君達は教訓を学んだ。人前ではお互いを嫌っているように振舞うこと、そして二度と一緒に仕事をしないことを誓った。二人の関係がどれだけ無責任で危険なものかも忘れようとした。そうすれば幸せを得ることができたからだ。
これほどお互いにとって相応しい相手と結ばれることが、過去にあったのだろうか? これほど深く愛し合えることが…
終わり
別の展開を選ぶには「序章」に戻ってください。
Jay Watamaniuk、Ryan Cormier、Jeffrey Campbell、Mary Kirby、Amanda Kelsko、Karin Weekesに感謝を込めて